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ただし、ご本人の講義をテレビ等で見たことがある人なら知っているだろうが、山内氏の生の授業は大変おもしろい。なぜこれが文章にも生かされないのか、疑問である。
筋金入りの革命家として十代の頃から辛酸をなめ続けたスターリンと、売れないアーティストとしてモラトリアムな青春を送ったヒトラー。 レーニン配下のボリシェヴィキの一員としてクーデターに暗躍したスターリンと、産業界の操り人形として政権を取らせてもらったヒトラー。 一世代の間に全く新しい現代国家を築き上げたスターリンと、それまでの数十世代にわたるドイツ文化の偉大な遺産を自分の代でほとんど使い果たしてしまったヒトラー。 軍事・政治・外交だけでなく、文化や芸術にまで注意深く目を配り、すべて自分で仕切り通したスターリンと、面倒くさい案件はすぐに側近に丸投げしてしまったヒトラー。 戦争においては大局の指導に専念し、細かい作戦は将軍たちにぜんぶ任せていたスターリンと、こまかい作戦にいちいちこだわって戦局を悪化させたヒトラー。 毛沢東や金日成などその後のほとんどの独裁者のお手本となり、その影響力は現在まで続いているスターリンと、ホロコーストと敗戦というマイナス要因によってのみ歴史に影響を与えたヒトラー。 そういうわけでヒトラーはただただマヌケな政治家だと思いますが、しかし、もし今後の歴史に登場するかもしれないのはヒトラー型の政治家だと思います(スターリン的人間、「悪の天才」的政治家は前近代的社会からしか生まれないように思うからです)。 よって、わけの分からない差別的な発言をする政治家がいたら、「あいつはマヌケだからしょうがない」と思ったりせず、早めに放逐することが大切ではないでしょうか。
図や写真などを多用しており視覚的にも理解しやすく、また説明も割と詳しいので、今まで古代人類に対してはっきりとしたイメージを持っていなかったけれど科学的にもっと知りたい、という方にはよい本でしょう。
国家管理の結果生じた国民の新しい音楽趣味は、明治後半になると「真白き富士の根」のような、江戸から続く俗謡系とは違った新しい流行歌を生み出す。流行歌という国家で管理できない新しい歌が出現すると、対抗処置として学校現場では流行歌を歌うことを禁止した。国家によって管理された「健全なる唱歌」という官製の子供の歌の作詞は、宮中の御歌所につながる歌人たちが独占していたが、大正期に入ると童謡運動という民間からの反撃で「シャボン玉」のような童謡が生まれ、人気を得ると、これ以降、子供の歌の歌詞から和歌が消えてしまう。尋常小学唱歌が作られたのは、流行歌と童謡に対する官側からの反撃としての意味も持ち、その結果「故郷」などの唱歌が生まれる。しかしこうした歌の管理をめぐる官民の争いをよそに、流行歌「真白き富士の根」童謡「シャボン玉」尋常小学唱歌「故郷」のいずれにも賛美歌の影響が及んでいたのだ。
一面が琥珀で装飾された「琥珀の間」はプロイセンで構想され原型が造られるが、後にロシアに寄贈される。琥珀の間はサンクトペテルブルク南郊の夏宮(現エカテリーナ宮殿)に暫く落ち着くが、独ソが開戦すると、ドイツ軍の軍靴と共にいずこともなく運び去られてしまう。 筆者は失われた琥珀の間のゆかりの地を旅しつつ、現在も部屋の所在を追跡する人々や、一方で復元に携わる人々の思いを克明に伝える。
史蹟は年々変化していくものなので、新選組関連のガイドブックも度々購入していますが、遊び心豊かな装丁のわりにはかなりマニアックなところまで網羅された、充実の内容でした。 史蹟写真はサイズが小さいため、ガイドブックを観るだけで浸れるというわけにはいかないのですが、その分ひとつの場所に散在している複数の史蹟の写真が全部掲載されていたのが、ちょっと感動。 とくに京都御所内の史蹟は、配置図つきでかなりのコマ数が掲載されていましたので、以前何も持たずに自分の足で御所内を探しまくった自分としては、これはかなり美味しいかも!(ちょっと悔しい気すら) 壬生屯所の馬小屋跡や、多摩のとうかん森はじめ、事件のあった橋や通りなどまで写真付きできっちり取り上げられているところ、それに異説のあることが明記されていることは、史実をないがしろにしない真摯な姿勢の伺える編集。 おもかげ度や現在のアクセス度、史蹟としての充実度に関する指標が添えられている上、モデルコースの添え書きには歩き方のアドバイスまであって、この本を片手に実際史蹟巡りをする読者への細やかな配慮が感じられます。 フルカラーの史蹟写真が少ないのが難と言えば難ですが、この内容でフルカラーを増やすと値が張ってしまうでしょうから、手ごろな値段で充実の内容重視を追求したものでしょう。 なんど巡っても巡りきれないくらいいっぱいの史蹟たち。 このガイドブックを観てると足がうずうずしてきますよ!
中でも、近藤勇の血縁者・宮川豊治氏と新選組研究家・伊東成郎氏との対談は、両氏の新選組研究への情熱と、新選組に関わるすべての活動に対する激励がストレートに伝わってきて、ファンとしては何が何でも応援したくなるやりとり。 大河ドラマ「新選組!」で時代考証を担当される山村竜也氏へのインタビューは、ストーリー進行から細かな設定、それを造りだす課程での綿密な配慮などが語られており、大河を控え期待と不安に胸焦がす新選組ファンは必読です。 人物誌あるいは稗史録として取り上げられているのは、新選組隊士ではないものの関わりの深い近藤周助や、芹沢鴨、山南敬助、永倉新八、監察諸氏、大石鍬次郎、山野八十八、谷昌武、市村鉄之助と兄の辰之助、相馬主計など。 史談や当事者の遺稿などから彼らの人となりを再検討した上で、これまでの媒体が創り上げてきたイメージを一掃し、より真に迫ろうとする意欲溢れる考察が多く、参考になりました。 諸処に挿し入れられた著名作家たちの短編小説も読み応えあり。あまり知られていない短編をかき集めたという感じで、太宰治の「虎徹宵話」に関しては恥かしながら今回初めて知りました。太宰独特の筆運びが秀逸な短編です。 作家たちによる新選組対談&鼎談も、自身の新選組作品に関わる裏話が覗きつつ、描き出す課程で咀嚼した史実と各々が抱くイメージとの融合を軽快に語っていて興味深い内容。 人物中心とはいっても、最新研究をさりげに挿入し、全隊士プロフィールも収録しているあたりが心憎い構成です。 ページ: | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | ... | 次のページ | 2/9 |